| 社長のつぶやき |
| Vol7.私の心を冷めさせた一言〜ある一通の手紙〜 |
| あなたの心を決めた一言として寄せられた実際の手紙の中から、一通紹介します。 |
私もご多分に漏れず、メーカーと言われる所にアプローチをしました。普通に住宅展示場に出展しているようなところには、ほとんど話をしました。中には、結構魅力的な要素や営業マンもいて心惹かれることも多々ありました。そんな中で、なぜ全てを断ったのか。確かに、より良い所が見つかったと言うのが一番大きな理由なのですが、それ以外にも今から思えば思い当たるところがありました。
彼らの中で共通しているのが、自社の家を表現するときにほぼ必ず「当社の商品は」と言う表現を使い、広告などでも「新商品」という表現を見かけます。設計や企画をした人は別でしょうが、そこの会社の大部分の人は家を商品としてしか認識していないということなのでしょう。
商品と言われると、車や家電と同じ認識なのかと言いたくなりマス。果たしてそれで本当に気持ちの入った家造りができるのか、そういう疑念が生まれてしまいます。せめて、商品と言うからには、車や家電並にシステマチックに工事が進むのならいいですが、現場は人の経験や感情に頼ったままで、品質に大きなバラツキが存在しています。そんな中途半端な状況では商品とも呼べず、商品と呼ばれるような家は嫌だという思いになってしまいます。
こういう風に書くとユニット形のメーカーさんから、工場化率も高くそういった懸念はきわめて低いと言う反論を頂きそうですが、私もそういう風に期待するところはありました。しかし、私は自分の見たものから判断してそういう風には思えませんでした。
私自身、実際に組み立て工場に見学に行きました。確かにそこではベルトコンベア−に乗ったユニットが整然と移動していて、各ポイント決まった組立作業が多くのは機械化されて行われていました。そう、あたかも自動車などの組み立てラインを見ているようでした。
と、ここまでなら良いのですが、私が見ていた短い時間の間に何度も警告のブザーが鳴っていましたし、ライン間違い(違う家のユニットが別の家のラインの途中に紛れ込む)もいくつもありました。また、全てが機会ではなくやはり形が多岐にわたるので結構な部分で人の手が入ります。そうなると、ベルトコンベア−で次々と流れてきますから、まさしくマシンと化して作業を進めることになりますから思い入れなんて入り込む余地は感じられませんでした。
そして、作業そのものも、例えばタッカーを打つにしても横目で見ながらという感じでした。
そして、何よりも私を不安にさせたのは自分の知らないうちに大部分が完成されてくる(見えなくなる)というところでした。全てが問題なく進んでいれば雨にも濡れませんし良いことなのですが、これだけ警告ブザーが頻発して、作業風景を見れば不安になってしまいます。下地仕上げ、断熱材の詰め込みなどや、私の言った時に作業中に端が欠けてしまった外壁材を一生懸命補修していました。
こんなのを見ると他でもどんな状態になっているか不安になってしまいます。そんなことで、工場化率が高いというのは一概に良いことばかりではないという結論に達しました。
余談ですがこのメーカーさんでもう一つの疑問は、これだけ機械化されて画一化されているのにどうして他のメーカーと価格がそれほど変わらないのかというのもありました。他メーカーよりも設備が良いという説明もありましたが、私の感覚ではそれほどの差は認識できませんでした。
コストの点で言えば、先のユニット系の話もありますが、メーカーさん全体としてどれだけの費用が家に回るんだろうかという不安もありました。
GWやお正月(それ以外でも大抵)に展示場に行くと結構な粗品を貰えたりします。そして、いつもたくさんの営業さんが常駐していますし、カタログ類も非常に立派なもので、コマーシャルなどの広告も大々的です。さらに、地盤調査その他もキャンペーンと称して無料だったりします。また、展示場とは別に大規模なショールームを持っているところもあります。その他にも無料で提供されるものが多数あります。展示場も年間1億以上の維持費が必要なこともざらだと聞きます。一体こういう費用はどこから出ているのでしょうか。
当然、契約した人たちの支払ったお金から出ているはずです。スケールメリットでコストダウンができるといってもこれら全てを賄えるほどにはならないと思います。それでも、内容と金額を客観的に比較して満足のいくものであればそれでよいという考え方もありますが、私のように強欲な人間は、それだったらそういうコストのかからない他に頼めば金額を下げたり、よりグレードアップできるはずだと思ってしまいます。やはり、この点も私の気持ちが離れていった要因の一つではあります。
ただ、大手ということによって生じる(漠然とした)安心感とかも一つの価値ではあるので、そういったことも総合的に判断してその人が満足することができればメーカーの家はだめとかそういうことでないと思います。
私も、最初はそういう点に魅力を感じてメーカーという選択肢を検討しました。しかし、人の気持ちというのはどんどん変化していきます。そんな中で私の場合は、少々のリスクや時間と手間を背負ってでも、より安く、より良い家を、細部にまでこだわって手に入れたかったのでメーカーという選択肢が最終的に除外されたということになります。
|
|
|
 |
 |