| 社長のつぶやき |
| Vol3.住宅の家族に与える影響力 |
ずいぶん長い間住宅資材や木材に携わって生きてきました。
しかし、近年ほど、住宅がそこに生活する家族の方々に与える影響力を身にしみて感じることはありません。
従来の住宅は雨露をしのぎ、外敵や自然の驚異から身を守れさえすれば事足りた単なる建物としての役割しか担っておらず、シェルターとしての役割を果たしさえすれば住宅の機能の大半を果たしていたのかもしれません。
しかし、今日の住宅は単なる建物の役割を超えて、いろいろの影響力をそこに生活する家族に与える環境になっている。それによって引き起こされる弊害が近年顕著になっているように思えてならない。
まず第一に住宅の計画のされ方によって引き起こされる身体の病気の問題です。最近、新築されたり増築された建物に入ると、それまで経験しなかったアトピーや化学物質過敏症によるめまいや吐き気がおこるという人たちが増えている。住宅が高気密化されるようになり、新築のために使われた合板やビニールクロスの接着剤や塗料などの化学物質が、生活するための温度の上昇と共に揮発し、室内や住宅内の空気を汚染し、それが生活者に影響を与えるシックハウス症候群と呼ばれる病気を生み出した。
それはまだ症状が出るために自覚されるが、気密住宅として密閉された上に、きちんとした通気、通風のとられていない住宅、つまり吸気と排気の換気計画のなされていない住宅では、知らず知らずのうちに酸素不足によるガン、脳卒中、心臓病などにおかされていることがあります。
高気密、高断熱住宅は省エネ住宅として最も流行の住宅計画ですが、住宅に使われる素材や換気計画をきちんとした上でプランニングされないと、快適と思われた住宅が、実は家族の健康をむしばんでいるということになってしまう。
また、事前に住宅計画がきちんとなされず、せっかく半生をかけた大金を投じた住宅が、入居と同時に計画の不備による不満が続出し、またローンの返済計画に無理があったりで、ストレスがたまり、それが原因で病気になるということも最近よく耳にする。
そのうえ住宅ローンが払えず自己破産される方も後を絶たない。それらは皆、事前のプランニングがきちんとなされていないことから起こる悲劇だ。一生一代の大事業である住宅建築は業者任せにせず、家族でしっかり話し合い、住宅知識を十分積んだ上でプランニングを繰り返し、後悔しないものにしなければならない。
また最近顕著に現れている問題に家を新築し、部屋にゆとりが出来たために家族の団らんが無くなり、夫婦が不仲になったり、子供達とのつながりが希薄になり、子供達の気持ちが分からなくなるということがある。
家が新築され、家族の各々が個室を持ち、その個室があまりにも自分の城として居心地が良いために、また何でも揃いすぎているために、個室にこもりきりになり、親子の会話や団らんが無くなり、「うちの子が何を考えているのかわからない」という状況が生まれ、最近の事件のように、事が起こって初めて、「まさかうちの子が」という状況を生んでいるようだ。
少子化が進み、子供達の要望を受け入れすぎ、お客様扱いしすぎた反動が今の社会をつくっている。
私は子供部屋はせいぜい寝るだけのスペースと考え、小さいときは出来るだけ、勉強にしても居間やキッチンで親の顔の見えるところで行い、家族は常に一カ所に集まりながら、皆が勝手に好きなことが出来るスペースづくりを提案したい。
もう一度しっかりした反省の元に、住宅が与える環境としての重大さを認識し、住宅計画を見直す必要性を感じる。
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