| 社長のつぶやき |
| Vol2.みすぼらしい農家と豪華な現代の家 |
高松へ行ったとき、名物の讃岐うどんを食べ、四国村という観光地をゆっくり見学することが出来た。地元でも有名なうどん屋は二百三十年前の旧家を改装した建物である。
小屋梁は地松のタイコ梁で、伝統工法そのものの作りである。新たに建てようと思っても、これだけの材料を集めるのは難しいだろうし、腕の良い大工や職人を探すのも大変であろう。食後に訪れた四国村は四国各地に残っていた古い民家を集め修復したもので、初めてみる面白い建築物に興味は尽きない。
しかし、何より驚いたのは、決して庄屋や武家の屋敷ではなく、ごく普通の貧しい小作の農家が、修復したとはいえ二百年以上の歳月を経て、今なお建っているという事実である。
材料も近くの山から切り出したのであろう材で、特に良い物を使っているわけではない。大工だって腕がよいわけではなく、仕口や継手も単純である。
もしかすると専門の大工ではなく、村人が総出で建てた物かもしれない。それでも風雪に耐え、二百年の時を超えて今、目の前に建っている。
思わず頭を下げ拝みたい気持ちになってくる。今まで、材料を選び、建て方に十分配慮すれば木造住宅は長持ちすると信じてきた。
しかし、目の前の建物は失礼ながら粗末で建て方も雑である。今まで自分が信じていたことは間違っていたのだろうか・・・?何でこんな家がこれほど長持ちするのだろうと床下をのぞき、材料をコンコンと叩いてみる。結論は、地元の材を使い、すきま風がビュービュー入る構造だからということに尽きる。
結局、良い材料とか、職人芸的な施工技術以前の問題として、木材を風に当て腐りにくい状況を作ることが丈夫で長持ちする家の大前提なのである。これなら今まで自分が信じてきたことに矛盾しない。
今の世の中で、家を建てるとき昔同様のすきま風ビュービューの家では欠陥住宅になってしまうが、気密性や断熱性を高めようと思ったら、断熱材を何ミリにするとか、複層ガラスを使うとかの前に、躯体の構造、断熱方法に留意しなくてはならない。
やはり、プレハブや2x4より日本には在来工法だという思いを胸に四国村を後にした。その後しばらくして、ホワイトウッドの集成管柱に既に腐った例が出ていることを耳にした。なんということだろう、集成管柱が本格的に流通を始めてから、わずか7〜8年である。いかに腐りやすい樹種とはいえ、そんなに早く問題が出るとは信じられない思いである。
もちろん、全ての建物に問題が生じたわけではなく、たまたま立地条件や住み方に問題があったのかもしれないが、それにしてもショックである。スプルースなどのホワイトウッドだって、壁の中を空気が流通する在来工法ならば十五年くらいは十分持つと思っていた。
それが半分の寿命というならば、樹種の選定以前の問題として、今の在来工法の構造、そのものに問題があるとしか思えない。
断熱性、気密性を重視するあまり壁の中の空気の流通を遮断し、壁内に入り込んだ湿気を追い出すことの出来ない建て方では絶対に家は長持ちしない。杉や桧なら良い、ホワイトウッドではダメということで解決する問題ではない。
一見みすぼらしい昔の農家より、一見豪華な現代の住宅の方が劣っている点が間違いなく存在するのである。木材に不信感をもたれないためには謙虚に反省し、現在の木造住宅の建て方を根本的に考え直す必要があると思う。
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